設備設計のお仕事をする上で、排水設備の知識を身に付ける事は非常に重要です。
むしろ、設備設計では最初に身に付けるべき知識と言っても過言ではありません。
そう断言するにもきちんとした理由があります。
簡単に言いますと
排水設備の設計に不備があり、トラブルが起きると人体、建物側への影響、そして対応する為の是正工事費用が大きいからです。
排水設備に関するトラブルもありますが、原因を考えるとこんな声を聞くことがしばしばあります。
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建物外の外構の汚水桝から汚水が溢れてしまいました…
排水の配管径が適正ではないと事業者から言われて困っています。
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資格勉強では排水設備について部分的にしか勉強してこなかったので、基礎知識をしっかり勉強したいです。
という事で今回は排水設備の勉強方法について解説していきます。
排水設備の設計にあたり勉強すべき本も紹介しますので、忙しい毎日だと思いますが、 仕事終わりの電車の中ででも読んでみてください。
・設備設計初心者
・排水設備の基礎を勉強したい設備設計者
・排水流量の求め方を分かりやすい本で勉強したい人
・下水道法を理解していない人
・排水設備のトラブルに悩む人
それでは早速本題に入ります。
排水設備の設計は難しい
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建物に対しての排水設備の設計は重要ですが、一方で非常に難しい業務です。
排水不良、逆流、臭気、下水道本管への接続を考えた排水管ルート計画など、一つの間違い、認識不足により大事故につながる事が多い為、それらを全て考慮した排水設備の設計を行う必要があるからです。
設備設計者が下水道法を勉強する機会が少ない
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設備設計者は下水道を勉強する機会に恵まれていません。
施工者であれば排水設備工事責任技術者という資格で下水道法に触れることがありますが、設備設計者が受験できる資格ではほとんど下水道法に触れないのです。
下水道を身に付けておかないと以下のようになります。
・各市町村で定められている以外の排水設備に関する桝の設置基準、勾配の最低基準などを理解せずに排水設備を設計してしまう。
・グリーストラップの設置基準が頭に入っていない状態で飲食店の排水設備の設計をしてしまう。
・受忍義務を理解していないので事業者に余計な工事費用を出させてしまう。
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私も書いていて、そのまま排水設備を設計するとどうなるかを考えたらゾッとしてしまいました。
逆手に取れば排水設備を勉強すれば重宝される
排水設備の設計は確かに難しいのですが、それを逆に考えてみましょう。
排水設備の知識な豊富な設備設計者による設計ですと、建物の設備に対する事故が非常に少なくなります。
排水設備に関する知識と設計であれば、誰にも追いつけない領域でした。
彼の設計する排水設備は本当にトラブルがなく、各市町村の排水設備に関する条例や施工基準を完璧に遵守した設計を行い、着工してもほぼ排水管ルートが変わることはありませんでした。
排水設備の設計が完璧であれば、
事業者ももちろんですが、施工者もお仕事も質が高くなります。
そして、排水設備のメンテナンスが非常にやりやすい、と施設管理者から感謝の言葉を頂くことも少なくありませんでした。
完璧な排水設備の設計は
建物に対しても、関係する人々にもより良い相乗効果を生みます。
私もそんな設備設計者になりたいと追いかけています。
排水設備はトラブルが多い
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次に、排水設備に関するトラブルの事例を紹介します。
皆さんもご経験がある排水設備トラブルもあるかもしれませんが、実際によく聞くトラブルを例に出して紹介します。
排水設備のトラブル事例1
屋外に面さないものの、水を使った清掃や、給水配管の漏水がある場合を考慮して排水立管を通したが、各階にトラップを設けない計画とした。
↓
各階に排水トラップを設けていないので排水立管を伝って臭気が上がり、閉鎖空間に臭気が充満してしまった。
↓
臭いが取れずに建築材料である壁のクロスを貼り直し、排水立管の各階にトラップを設ける為に床の削った。
トイレや雑排水系統であれば、トラップを設けないことはあるはずがないのですが、
清掃用などの排水立管にはトラップの付け忘れがたまに起こります。
例え、排水系統1本でもこのような見落とし、認識不足があると、建物に対しての影響が非常に大きく、取り返しのつかないことになります。
排水設備のトラブル事例2
工事中に建物内からの排水管が下水道本管へ接続出来ないことが分かった。
↓
・下水道本管のレベルを誤認していたこと。
・下水道法、市町村の施行規定どおりの排水管勾配を把握せずに設計してしまっていた。
↓
・下水道本管に排水管が接続できるように、建物内の排水管ルートを大幅に変更した。
その為、天井建築材料を広範囲に渡り剥がし、床スラブのコア抜きを行った。
・適正な勾配になるように、一部の外構の排水管を是正する為、掘削、埋め戻しを行った。
こちらは誤認もありますが、施行規定や下水道を理解していないことで起こった事例です。
下水本管などインフラ側は日本全国どこでも不安定です。
下水台帳通りの深さに下水本管がない場合も多々あります。
そんな事故が起きないように先ずは建物内の排水管ルート、排水設備の計画に可能な限り余裕を持たせて計画し、かつ下水道法と市町村の排水設備の規定通りに排水管勾配を確保した設計が必要になります。
排水設備のトラブル事例3
外構の桝や建物1階の手洗いから汚水が逆流して溢れてしまった。
↓
・建物内の排水管径が流量計算と整合がとれていない配管径で適正ではなかった。
・高層階の建物の為、排水管内で流速が上がり、乱流状態の排水管が複数合流した桝で溢れてしまった。
↓
・排水計算と整合の取れた配管径となるように一部の排水管を是正。
・乱流を解消するように排水管ルートの変更、外構の桝を新たに複数設置。
こちらはよくある残念な事例ですが、衛生器具や外構桝から汚水が逆流することは被害が甚大です。
ましてや「汚水」ですので、溢れてしまった箇所の清掃、消臭作業を考えると寒気がする事例ですね。
排水設備のトラブル対策、分かりやすい本
前項目で紹介した排水設備に関するトラブルはほんの一部です。
排水設備に関するトラブルは他にも沢山ありますので、トラブル回避を考えがら設計する必要があります。
以下の本では、排水設備に関する基礎知識の他にトラブル事例も紹介されています。
排水設備のリスク回避を考えたい、勉強したい方にはおすすめです。
排水設備の設計に対する参考書
続いて、排水設備の設計に関する参考書の紹介をします。
排水設備の基礎的知識として、排水流量計算などが挙げあられますが、排水の計算関係を勉強したい方と
より実務に近い知識を勉強したい向けの2冊を絞っています。
分かりやすく排水計算を勉強したい人
排水設備の計算は、定常流量法や排水負荷単位方法などがありますが。
専門書を読んでもいまいち理解できない方は、なるべく「分かりやすい本」から勉強しましょう。
排水設備の計算関連の知識をきちんと身につけることで、問題のありそうな排水設備は感覚的に分かるようになります。
そして、改めて計算してみてもやはり排水が溢れる、排水不良が起こるリスクを見つけられるようになります。
実務に近い排水設備の勉強をしたい人
こちらはより実務に近い排水設備の計画になります。
空気調和・衛生工学会(別名SHASE)という建築設備、機械設備専門の学術団体が出版しているのでより実務的でかつ専門的な本になります。
ただし、注意点
非常に専門的な内容の為、基礎知識がしっかり備わっている状態でかつ、数年の設備設計に関する実務経験がないと読み進めるのが難しいかもしれません。
ですが、専門書としては優秀ですので、排水設備の知識を一つ上のレベルに到達させたいと勉強する方にはおすすめです。
まとめ
それでは排水設備の設計に対する勉強のまとめに入ります。
①排水設備の設計は難しい
排水設備の設計、工事に不備があると、臭気の充満や汚水の漏洩などで、被害が甚大です。
リスクの大きい排水設備設計ですが、設備設計者が排水設備を勉強する機会が少ないことが大きな要因です。
・設備設計者が下水道法を勉強する機会が少ない。
・設備設計者が取得できる資格の勉強では排水設備の全てを身につけれる訳ではない。
②逆手にとって排水設備のスペシャリストになることが重要
完璧な排水設備の設計は
建物に対しても、関係する人々にもより良い相乗効果を生みます。
排水設備の設計がきちんとできる設備設計者は、優秀な人材といえます。
③排水設備の勉強のおすすめ本は以下を紹介しました。
・トラブル回避に役立つ本
・排水設備の基礎知識と計算の分かりやすい本
・排水設備のより実務に近い知識を勉強する本
以上です。
私のかつての上司のような、排水設備のスペシャリストと呼ばれる設備設計者が増えることを祈っています。
一緒に楽しく勉強しましょう。
pinky
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