設計者目線の管工事施工管理技士で出来ること

設備資格について

給排水衛生設備、空気調和設備の工事の現場管理、施工管理としての最高峰である管工事施工管理技士という資格は施工管理職として重要な資格であると共に、
施工管理職から設計職に転職する際にも非常に重要な資格です。

今回は管工事施工管理技士を取得して、設備設計に転職を考えている方向け主体に記事を書いていきます。

この記事を読むと〇〇できます。

・設計者目線での管工事施工管理技士を取得するメリットが分かる。
・管工事施工管理技士が設備設計に有効な理由が分かる。
・管工事、設備設計などへの転職活動の幅が広がる。
・設備屋として、将来的な考えを持つことができる。

ちなみに私は・・・
元々は皆様と同じように管工事の施工管理職に就いておりましたが、設備設計の仕事に興味を持ち、思い切って設備設計職へ転職をした現役設備設計者です。

資格面では、管工事施工管理技士、建築設備士、1級建築士、設備設計1級建築士と資格取得もステップアップさせてきました。

その中でも管工事施工管理技士は、設備設計のお仕事をしていている今でも非常に役立つ資格だと実感しております。

管工事施工管理技士を取得して実際に何ができるのか?

管工事の現場代理人、工事監督をする為に法的に必要であることは既にご存知だと思います。

ただ、いわゆる法的ではない相対的価値観という観点から、実際にこういったメリットがあることを解説している記事は見かけないので、管工事施工管理技士のメリットについて設備設計としての目線で解説した記事を書きました。

それでは具体的に設備設計者目線でも管工事施工管理技士がどのようなメリットがあるのか、何が出来るのか具体的に解説していきます。

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【大前提】設備設計には関連資格が少ない

プラント設備など特殊な建物を除いた場合に限りますが
設備設計は商業施設やビル、事務所やホテル、集合住宅、工場など様々なヶ所で活躍できますが、直接的に関連する資格は非常に少ないと感じています。

管工事の設計に関連する資格としては、難易度順位をつけると以下のようになります。

①設備設計1級建築士および1級建築士

②建築設備士

③1級管工事施工管理技士、エネルギー管理士(熱)

④空調衛生工学会 設備士

⑤2級管工事施工管理技士、消防設備士甲種、給水装置工事主任技術者、1級配管技能士

それ以降は消防設備士乙種や排水設備工事責任技術者や2級・3級配管技能士

※電気設備工事関連は今回は抜粋します。

また、端的に申し上げますと

設備設計で法的に必要な資格というのは、設備設計1級建築士のみになります。
しかも3階以上5000m2以上の場合に限って話です。

難易度で2番目に該当する建築設備士ですら「建築士にアドバイス」する立場ですので法的義務ではないのです。

そう考えると、難易度的にも上位に入る管工事施工管理技士を取得することは
ご自身の価値を示しかつ、設備設計者として保有資格を増やす面でも施工管理技士を取得するメリットはあると思います。

注意点としては管工事施工管理技士でも1級管工事施工管理技士を取得してから設備設計への転職活動することをおすすめします。

1級管工事施工管理技士のネームバリューは絶大ですから!

設備設計で取得する人が少ない事を逆に考える

設備設計のお仕事をされている方で管工事施工管理技士の取得している方が少ない要因として理由は以下になります。

・設計職になると、優先すべきは建築設備士、建築士

・管工事施工管理技士を取得している同僚、上司が少ない

・取得しても手当が出る設計会社が少ない

設備設計では、資格取得の優先は前の項目で記載の通り建築設備士、建築士が最優先となります。

法的かつ設備設計者としてのプライドの為に必然的にそのようになってしまい、建築士まで取得してしまうと、管工事施工管理技士は取得しなくてはいいや・・・

なんて考えてしまいます。
まぁ、実際設備設計の実務的な知識の勉強で忙しいのも正直な所ですが。

また、設計会社に勤めている方々で、施工管理技士を取得している方は非常に少ないため、試験問題やどのような対策をすれば良いのか、はたまた体験談なども身近で聞けないことも原因の一つだと考えています。

私は施工会社からの転職でしたから施工会社勤務時に取得しましたが
上司が1級管工事施工管理技士を取得していて、いつも「大丈夫、俺でも合格したのだから、きちんと勉強すれば受かるよ」といつも励ましてくださった事を今でも覚えています。

そして最後、設計会社では施工管理技士を取得していても手当を出してくれない会社が多いです。

法的に必要がない、かつ手当が出ないとなると取得してもメリットがない、むしろ勉強する時間に対してデメリットになるのでは?などと考えてしまいがちです。

ですが、それを逆手に取りましょう!!

設備設計者で管工事施工管理技士を取得していない人が多い中、施工管理技士、しかも1級を取得していれば目立つ事は間違いありません。

転職の際、アピールポイントになる

それでは管工事施工管理から設計への転職も視野に入れた管工事施工管理技士が具体的にどのようなメリットがあるのかを解説していきます。

私の経験

ちなみに私は・・・設計職へ転職活動の際は1級管工事施工管理技士を取得し、空調衛生工学会の設備士、消防設備士程度で転職活動に臨みました。

結果的に自分の希望通りに設備設計職へ転職することができました。

空気調和・衛生工学会設備士については以下の記事で細かく解説しています。

あなたの価値をアピールできる

給排水衛生、空気調和設備のいわゆる設備設計を目指す新卒などでは設備設計への実務経験が少ないので、空調衛生工学会の設備士を取得して、建築設備士の取得を目指す方が多いように見受けられますが、管工事施工管理技士を取得している方は非常に少ないです。

更に、設備設計1級建築士は、1級建築士を取得してから受験になりますので管工事施工管理から転職の際にそこまで資格を取得して転職活動をされる方は非常に少ないです。

そこで1級管工事施工管理技士の出番です。

管工事施工管理技士を取得して、設備設計への転職を希望される方の履歴書を拝見することがありますが、その場合

この人は施工管理の仕事を資格を取得して、きちんと仕事をされてきた方なのだな。

設備設計業務を覚えれば戦力になるし、人手不足の設備設計業界では貴重な人材だな。

となります。

資格は、その方の実務経験に対してどのような水準で仕事をされてきたかの指標になります。

逆に1級管工事施工管理技士を取得せず、施工管理から設備設計へ転職を希望される履歴書を見てしまうと

この人は実務経験がかなりあるけど、どれくらいの腕があるのか分かりにくいな。。。

設備設計はある程度建物の収まりも理解しないとできないから、正直採用は迷ってしまうなぁ。。。

となってしまいます。

また、少し厳しい意見かもしれませんが、私も全く同じで管工事施工管理技士から設備設計への転職という道を辿ってきたからこそ申し上げることをご了承ください。

設備設計のお仕事をしたことがない、または経験の少ない方が、設備設計への就職活動を行っても「設備設計において経験がない」という事実は変わりません。

だとすれば、どうすればあなたの価値をアピールできるのでしょうか?

そう、それが資格なのです。

実際、1級管工事施工管理技士を取得して設備設計へ転職した方は、設備設計を新卒から経験を積んでいる方と比べると、「現場を知っている」ので、圧倒的に成長も早く、私も頼りにしています。

そんな設備設計者が増えると設備設計を行う設計事務所という会社にとっても非常に貴重な人材なのです。

1級管工事施工技士を取得していれば設備設計への転職も視野に入れることができるのです。

1級管工事施工管理技術検定 | 一般財団法人 全国建設研修センター
一般財団法人 全国建設研修センター(JCTC)は、国づくり・まちづくり並びにこれに携わる人材の育成に全力で取り組んでいます。

年収交渉に役立つ

続いては年収についてです。

年収に関しては、管工事施工管理技士を取得していれば
施工管理でも設備設計どちらでも評価対象になりうると考えられます。

施工管理職では管工事施工管理技士を取得していれば、現場代理人、そして講習を受講して監理技術者としての仕事ができ、つまり施工管理として一人前であるということですから年収UPが期待できます。

施工管理職は
基本給はそこまで高くないのですが、現場手当と資格手当で大幅な年収UPが期待できます。

知人は・・・

管工事の施工管理技士にも関わらず、土木工事、電気工事、管工事の施工管理技士いずれも1級を取得してかつ、消防設備士や給水装置工事といった複数の資格を取得していたので、20台後半で年収は800万円台に到達していました。

20代後半の平均年収を考えると、非常に高い年収ですよね。

余談ですが、夜はなるべく早く切り上げて、土曜日もなるべく仕事を早く終わらせてほぼ定時で帰るように心掛けていると言っていましたから、そこまでブラックな働き方はしていないように感じました。

私なんかより、よっぽど「出来るタイプ」の人間です。

設備設計職では
前述したように必要な資格が正直少ないです。

また、設備設計しかやったことがない設備設計者の中で、自発的に1級管工事施工管理技士を取得する方はこれまた非常に少ないです。

ですが、設備設計職での資格の難易度は上位に入りかつ、「現場を知っている」証拠にもなりますから手当、という形でなくとも管工事施工管理技士を取得している人の評価は必然的に高くなります。

設備設計者A
設備設計者A

私が書いた図面が収まるか分からないですが、現場で何とか収めてくれるでしょう。
管工事施工管理技士の資格?そんなもの興味ないです。
あ、ちなみに建築設備士も持ってないです。

設備設計者B
設備設計者B

収まりを考えながらかつ快適な空間が作れるように設備設計業務を行なっています。
1級管工事施工管理技士を取得しています。

建築設備士は勉強中です。

ものすごく極端に書きましたが(笑)
あなたが上司なら、どちらを評価しますか?

工事監理業務に役立つ

設備設計には、建築士としての工事監理業務というものがあります。
端的には設計図通りに法的かつ、客先要望通りに施工ができているかの設計者としての目線で現場を監理する立場です。
現場定例に出席したり、施工状況の検査を行うこともあります。

つまり、当然現場の収まりを理解していないと、監理者としての業務が行えないのです。

前述しているように、管工事施工管理技士の試験には現場の収まりや施工方法の問題が数多く出題されます。
特に2次である筆記試験では施工方法について記述しなくてはなりません。

近年、机上でしか建築の設備を判断しなくなった設備設計者が増え、知識の乏しい施工状況の検査や単純に図面から何が違うか、理屈を考えずに施工者に指示をするような監理者が増えています。

建築設備の仕事は、施工管理職にせよ設備設計職にせよ、建物に対して設備機器、設備配管がどのように収まるのか、どのような理屈でそのような仕様になっているのか理解できなれば務まりません。

非常に嘆かわしい状況です。。。。

そういった意味で、管工事施工管理技士を取得する為の勉強というのは、工事監理者としての仕事をされる時に活きてきます。

実際、監理者の立場として施工状況に対して、指導をする際、管工事施工管理技士を取得している方であれば信憑性も高いと相対的にも感じてしまうものです。

まとめ

それでは現役設備設計者の目線で管工事施工管理技士を取得するメリットのまとめに入ります。

・設備設計に関連する資格が少ない、そして設備設計者の中で管工事施工管理技士を取得している人が非常に少ない。
逆手にとって、1級管工事施工管理技士を取得した設備設計者として目立つ事間違いありません。

・設備設計への転職活動に非常に有利に働く。
上記の通り、1級管工事施工管理技士を取得している設備設計者は少ないです。
取得していれば「現場を知っている」証拠にもなり、非常に重宝される技術者として扱われます。

・年収UPが期待できる。
管工事施工管理技士を取得していれば、施工会社はもちろんですが設計会社として手当は出ないかもしれませんが、確かな評価対象にはなります。
年収UP項目の設備設計者AさんとBさんを比較して考えてみてください。

・工事監理業務に役立つ。
管工事の工事監理業務を行うには、現場の収まりが分からないと本当の意味では務まらないのです。
なので、私個人の願いでもありますが、是非管工事施工管理技士を取得している=現場を知っている監理者すなわち、設備設計者であってほしいです。

以上です。
1級管工事施工管理技士は、一生物の国家資格です。

取得している方としてない方では雲泥の差がある程だと現役設備設計者の一人である私は考えています。

険しい道のりかもしれませんが、是非設備屋としてのご自分の将来を考えて、1級管工事施工管理技士の取得を目指しましょう。

pinky

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