給水の行政協議方法を現役設備設計者が解説

基本設計、計画

設備設計における給水設備の設計の最初の業務として、水道局や上下水道部との行政協議が必要です。

今回は給水設備の設計業務の行政協議に焦点を当てて記事を書いていきます。
また、現役設備設計者の私が実際に水道局と協議する際に準備している資料を公開しますので、参考にお使いください。

この記事を読むと〇〇できます。

・給水設備設計の行政協議方法が分かる
・水道局との協議に準備する内容が分かる
・水道局など行政協議の重要性が理解できる

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給水設備の設計における行政協議の重要性

たまにいらっしゃる設備設計の方のやり方で、いつも設計を行っている市町村では水道局や上下水道部と物件の給水についての協議を行わずそのまま設計される方がいらっしゃいます。

百歩譲って何十年もその市町村で給水設備の設計をされている方は一部水道局などの行政協議は一部省略しても良いのかもしれませんが、ここは敢えて断言します。

設備設計者は物件毎に給水設備の設計として、各市町村の水道局や上下水道部へ必ず協議に伺うようにしましょう。

少し考えてみると分かることですが、水道局などと協議しなかった最悪のリスクとして

・その物件で条例などが改正されていて、従来通りのルールではなくなっている可能性がある

・設備設計相談の法的効力は低いものの、いざという時に協議の有無を問われる。

・行政協議を行わない設備設計図面は質が悪いと客先に判断される

・不具合があった際の全責任が設備設計者の負担になってしまう

どれも当然の事ですが、例えば工事が着工し、設備設計図面通りに施工を進め、ほとんどの設備工事が完了した段階の行政検査にて

水道局検査員
水道局検査員

この給水設備内容は条例違反の為、水道局として水道の利用開始は許可できません!

事業者
事業者

なに!?事前に水道局に協議に行かなかった?そんな質の悪い給水設備の図面を発行したあなたの責任ですよ!!どうしてくれるのですか!!!

設備設計者
設備設計者

あわわわわ・・・・・

そんな事になってしまうと大ごとです。

せっかく建物の動脈と言われる設備設計業務ができているのに、行政協議を怠っただけで、設計者としての信頼が下がるようなことは非常に勿体ないです。

という事で、設備設計で給水設備については各市町村の水道局または上下水道部に協議に伺うようにしましょう。

給水設備の設計協議についての手順

給水設備の計画については別の記事で書いていますので、基本設計時の給水設備のスペースの出し方、強いては給水方式の決定方法や、給水ポンプ方式の決定、受水槽の容量算定計算方法なども解説しています。

1 水道局との協議前に準備するもの

先ずは給水設備の設計にあたり水道局と協議する為に資料を準備します。
準備する資料をリスト化してみました。

・計画地の住所の分かる地図
・工程表
・議事録記入用メモ用紙
・計画内容が記載された資料(用途、面積、配置図、平面図等)
・協議内容事項リスト
※入手出来れば水道台帳(別名:上水台帳等)

協議内容事項リストは特に大事なので、もう少し後の項目で詳しく説明と共に、私が実際に使用しているような例として、協議内容リストを参考に貼っています。

2 給水装置工事施工基準、施工規定、条例の確認

各市町村の水道局や上下水道部はそれぞれ独自の条例や規定を定めています。
先ずはその地域の特性を調べて、内容を把握しておくことが大事です。
しかもこれがまたややこしいのが、県単位でなく市町村別に水道の考え方が違うのです。

各市町村によって水道施設が違う為、当然の事なのですが、設備設計者はこの内容をしっかり理解しなければいけません。

私の場合、条例や規定、給水装置施工基準の大事な所について印刷してボールペンで1項目ずつ高速でチェックしていきます。

3 協議内容リストの作成について

水道局や上下水道部と協議を行う前に、事前に協議する内容をメモしておくとより中身の濃い協議が行えます。
理想の状態は下記になります。

・給水装置施工基準などを確認して、給水量を算定して引き込み口径が分かっている状態

・給水設備の設置位置が概ね決定している状態(給水ポンプや受水槽など)

最悪の場合、水道局と協議する際に担当者に相談すれば良いので、ここまでの状態はあくまで理想です。

4 協議内容リストの参考資料

私が実際に、給水設備の設計を行う際の水道局との協議用として使用している資料を参考に貼っておきます。
参考程度のダウンロードして使用して頂ければと考えています。
次の項目に実際の水道局との協議手順を解説しますが、この協議内容リストを事前に作成しておくだけで、協議もスムーズに進みますし、この手法は非常にオススメです。

水道局との協議

それでは、実際の水道局や上下水道部との協議手順を解説します。
この手順は水道局担当者にとっても給水設備の設計しようとしている計画が頭に入りやすい手順となっていますので、協議がスムーズに進むかと考えています。

水道局との協議手順

①計画地の住所、建物概要、工程の説明

②水道台帳で計画地周辺の水道本管状況を調べてもらう

③協議リストに沿って順番に協議を行う

④議事録メモを記し、担当者の名前と連絡先を控える

協議内容の議事録を作成することは非常に重要です。
法的な効力は低いのですが、それでも我々設計者としての立場を守るものでもあり、図面を作成していく中で、協議内容を忘れてしまった時などに読み返すことができるので、水道局との協議内容は必ず議事録に残すようにしましょう。

まとめ

それではまとめてに入っていきます。

・給水設備の設計において、水道局や上下水道部との協議は必ず物件ごとに行う事!

・水道局との協議の前に、必要な資料を準備する。

各市町村の条例、規定、給水装置工事施工基準を確認する

・協議の前に協議内容をリスト化しておく。

・協議した際は議事録を必ず作成して保存しておくこと。
 協議した担当者に作成した議事録を送って確認してもらうのが理想的。

以上です、設備設計者は色んな行政へ協議が必要です。
電気設備については電力会社や通信会社にも伺う必要があり、非常に時間を取られてしまいます。
効率良く行政協議を行って、よりよい設備設計を行うようにしましょう!

pinky

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